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遺言の成否のカギとは?
2022.04.18 BLOG
こんばんは、行政書士の橋本高晴です。
今日は、遺言の考え方について、少し掘り下げていこうと思います。🤔
遺言が後で紛争になるのは、遺言内容が隔たっており、財産わけの理由が理解しがたいケースや病気療養中で死亡する
直前に作成されたケース、遺言者が作成時の一時的な好悪の感情で遺言したと思われるケース等、やはり常識的に見て、
相続人間で取得する財産の均衡がとれていない、わかりやすく言うと「なぜこのような財産分けになるのか」という
疑問が生じる遺言の場合です。
それを知るためにも、【相続関係図】を必ず作成して、相続人、遺留分権利者等を確認し、不満が出ないか調査しておきます。
上記のケースでは、相続が始まったときに遺言の効力を巡って紛争となり、最終的には無効確認等の裁判が提起されることが
あります。
例えば・・・
父親から家業を引き継いで、30年以上も父親と同居し、生活の面倒を見てきた長男夫婦がいました。
父親は亡くなる半年前に「長男夫婦と仲違い」し、家を出ました。
高齢の父親が、次男夫婦のところに身を寄せると、直ぐに・・・次男に全部を相続させる趣旨の「自筆証書遺言」
を作成したケースがありました。父親が自らの感情の赴くままに長男夫婦との軋轢を書き記し、その経緯を踏まえて
この遺言を作成するとしており、一応それなりに筋も通っているので、遺言者自らの考えで遺言を作成したもの、
つまり、意思能力の点では、欠けていないものと考えられました。
しかし、誰が見ても家業を引き継いで長年面倒を見てきた長男夫婦に対して、あまりにも不公平です。
父親としては、積年の苛立ちが抑えられず、好悪の感情だけで二男の望む通り遺言を作成したようです。
この事件は、長男夫婦、特にこれまで苦労をして世話をしてきた長男の妻が、「次男夫婦のやり方は
絶対に許せない」と頑なで、遺言は無効であり、話し合いの余地はないとの一点張りで、長男もこれに引きずられて
裁判所から提案した、せめて家業も継続していけるように財産の2分の1を確保するとの和解案は・・・
まとまりませんでした。
結局、最高裁まで争われました。
結局のところ、内容、作成経過も常識に沿って、均衡のとれた遺言を作成することが、落ち着きもよく、
相続人間の争いも招かず、遺言者の意思をその内容の通り実現できるので、安心といえます。
(公証人 小島浩 著)
家族の在り方は、様々でしょう・・・
しかし、一人一人が、家族だからこそ、平等・公平を重んじるのではないでしょうか。
家族だからこそ、納得する理由をしっかりと理解して、説明することが大切かと思いま